無責任な減量指導。2018/10/15
「数ヶ月で5kg~10kgの減量で美しくなりませんか?」
「肥満症や糖尿病の方も安心の減量プログラム」
街を歩けば至る所で目にする文字。
SMSを開けばスクロールするごとに見てしまう広告サイト。
痩せたいという気持ちはわかりますし、病気を改善するために痩せた方がいい場合もあります。
しかしその実践方法や、無知なトレーナーの説明不足が健康被害を招いていることは紛れもない事実です。
第39回 日本肥満症学会「STOP!肥満症」の講義では、減量方法について大きくクローズアップ。
3ヶ月程度の短期間で成功させようと頑張るあまり、ダイエットに成功しても、それがリバンドに繋がってしまい結局は元の木阿弥。というよりもグンと悪い状態になってしまいます。(本文より抜粋)
健康運動指導士のテキストには「多くの肥満治療方針は現体重の5%~10%減を減量目標としている(本文より抜粋)」と記述しており、我々の世界でも常識の数字になっています。
日本人を含む東アジア人はインスリン分泌量が欧米白人の半分から4分の1ほどしかありません(京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学)
炭水化物ダイエットや糖質ダイエットが危険だと言われるの所以はそれです。
インスリンの分泌を助ける「善玉物質」のアディポネクチンも元々少なく、食欲を抑えて肥満を防ぐ作用があるレプチンの分泌まで追随して少なくなってしまいます。
偏った食事制限をしてインスリンが効かない身体になってしまうと、あとはどうなるか想像がつきますね。
そうです、糖尿病や肥満症への扉を開けることになるのです。
✅日本人は炭水化物の摂取が減ると膵臓に負担がかかりインスリンの分泌がさらに減ってしまうということ。(厚労省:国民栄養の現状をもとに)
✅生まれつきの疾患で投薬がどうしても必要な場合は食事コントロールも必須だということ。
✅体にはブドウ糖や貯蓄グリコーゲンを優先的に使う仕組みがあるので、炭水化物を摂取しすぎると脂肪の摂取を減らしても内臓脂肪が減りにくくなるということ。
すなわち内臓脂肪が過多なのか?炭水化物を必要以上に摂取していないか?など、指導者はそのあたりのカウンセリングをしてこそ責任を持った減量方法をご提案できるのではないでしょうか?
健康的に痩せることの大切さや科学的な根拠、身体の仕組みをきちんと説明できる専門家と二人三脚で減量対策することをお勧めします。
第39回 日本肥満症学会が行われたのは県政150周年を迎えたKOBEで。
真っ青な空と薄い雲を見上げながら深呼吸すると、まるで心の中がクレンジングされたかのように気持ちよかったです。